2013.12.26
「Bento」の綴りで世界へと広まりつつある日本のお弁当。そんなお弁当のなかでも、日本人にとりわけ熱く支持されるのが「駅弁」だ。東京では、全国各地の人気・名物駅弁が集結するスポットが大盛況。まずは国内最高峰と謳われる駅弁イベントをご紹介!
駅弁大会の楽しさを365日いつでも
「駅弁屋 祭」
Vol.1では、全国から駅弁が集結する白熱のイベント「駅弁大会」を取り上げた。今回ご紹介するのは、そんな駅弁大会の楽しさを365日いつでも味わえる東京駅構内のお店「駅弁屋 祭」。全国各地から170種類以上の駅弁が集まるという、常設店としては日本最大規模の駅弁専門店だ。店内には駅弁大会でおなじみの実演厨房も2カ所設けられている。
東京駅構内には"駅ナカ"と呼ばれる商業施設が充実していて、駅弁以外のお弁当も選択肢が豊富。それでも「駅弁屋 祭」は連日大盛況で、1日で約1万7500個もの駅弁が売れた日もあるとか。新幹線をはじめとした旅のお供として、また百貨店の駅弁大会のような持ち帰りの需要も多いようだ。
「旅で楽しむ駅弁は、昔からハレの日のお弁当でした。東京駅で地方の名産物を手軽に入手できるのもメリットですが、駅弁の旅情感・非日常感も人気につながっているのでは」と盛況の理由を分析するのは「駅弁屋 祭」を運営する株式会社日本レストランエンタプライズの広報、泉さん。
郷土色と歴史が織りなす
日本の駅弁文化を実感
170種以上もの駅弁が集まる「駅弁屋 祭」。海外からのお客さんなら、日本の駅弁文化に触れる場としても楽しめそう。まずは店内を一周して駅弁の種類をじっくり観察。多彩なおかずの幕の内系、海鮮系、肉系、さらには釜飯やお寿司、おにぎりまでジャンルはさまざま。同じ海鮮系でも地域によってとれる魚介や調理法、ご飯の味付けなどが異なるため、一つひとつに独自の郷土色が表れる。
また日本の駅弁には130年以上の歴史があり、各弁当が誕生した時代もまちまち。この「郷土色」×「歴史」による多様性こそが日本の駅弁の魅力であり、「あの場所」「あのころ」を思う旅情や郷愁の源。100年以上変わらぬ味のロングセラーから、加熱式容器を採用したものまで幅広い時代の駅弁がそろう「駅弁屋 祭」では、その多様性を実感できるはず。
実演で感じる作り手たちの歴史
2カ所の実演厨房では、全国の人気駅弁業者が腕を振るう。駅弁業者には老舗が多い。受け継がれた職人技に列車到着時刻と格闘してきた作り手たちの歴史を思いつつ、できたてを一つ購入してみては? 基本的に冷めた状態で食べるもので、そのため冷めてもおいしいのが日本の駅弁の特長だが、実演ならではのできたての味もまた格別。駅弁業者は約2週間ごとに入れ替わるため、訪れるたびに新たな実演と出会えるのもうれしい。
「列車の高速化などで旅のスタイルが変わり、駅弁の活躍の場は駅から百貨店などの催事に移りつつあります。『駅弁屋 祭』も専門店として駅弁文化を次代へと伝える役目を果たしていきたい」と泉さん。文化に触れれば、駅弁がより味わい深く感じられるはず。
駅弁屋 祭
東京都千代田区丸の内1-9-1 JR東京駅(改札内) セントラルストリート1F 電話:03-3213-4352 営業:5時30分~23時 年中無休 http://www.nre.co.jp/shop/db/detail_00609/