2013.09.27
世界唯一の歌舞伎専門劇場「歌舞伎座」。今春の新開場で、観劇する人専用の“場内”はもちろん、だれでも入場できる“場外”の魅力もアップ。観劇の時間がとれない日でも楽しめる複合施設へと進化した。新生歌舞伎座の観光スポットとしての見どころをご紹介しよう。
歌舞伎の魅力を親しみやすいテーマで展示「歌舞伎座ギャラリー」
場外最大の目玉となる新スポットが、歌舞伎座タワー5階の「歌舞伎座ギャラリー」。公演で使われる本物の衣裳や道具、普段は目にできない道具帳(舞台の設計図)などが、ビギナーにも親しみやすいテーマで展示される、いわば歌舞伎のワンダーランドだ。
取材時に開催されていたのは、企画展「歌舞伎の夏 色彩と音」。波や滝の舞台美術が大胆にレイアウトされ、展示スペースが鮮やかなブルーで彩られている。加えて浴衣などの衣裳がいっそうの涼を醸し、歌舞伎ならではの夏の視覚効果を満喫できる。展示スペース奥の「木挽町(こびきちょう)ホール」では、波や夕立の雨、蛙の鳴き声などを表現する楽器に触れることも。
目と耳で、総合芸術としての歌舞伎の表現力を体感できる歌舞伎座ギャラリー。9月12日からは秋をテーマとした企画展が開催される。
歌舞伎座ギャラリー
東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー5F 電話:03-3545-6886 営業:10時~18時(最終入場17時半) 定休:年末年始、展示入れ替え時
https://www.shochiku.co.jp/play/kabukiza/gallery/
ディープな歌舞伎文化に触れる
「屋上庭園」「スタジオアリス 歌舞伎座写真館」
歌舞伎座ギャラリーの周りには、ほかにも歌舞伎文化を伝えるスポットがずらり。とりわけ無料で入場できる「屋上庭園」周辺は、歌舞伎座ギャラリーに双肩する人気の観光エリアだ。
特筆すべきは、屋上庭園が歌舞伎座を象徴する大屋根上に広がっていること。歌舞伎座の荘厳な外観に魅せられた人なら、庭園から4階へ下る「五右衛門階段」から、目の前の堂々たる大屋根を鑑賞してみては?
五右衛門階段を下った先には、こちらも無料の「四階回廊」。故人となった名優のパネルや、歴代の歌舞伎座の模型が展示され、歌舞伎界が積み上げてきた歴史の一端に触れることができる。
屋上庭園
東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー5F 営業:10時~19時 年中無休
ディープな想い出を残すなら、5階の「スタジオアリス 歌舞伎座写真館」で決まり! こちらでは、歌舞伎俳優になりきって写真を撮ることができる。衣裳も美術背景も、手がけたのは実際の舞台で腕をふるう職人たち。クオリティは折り紙付き!
左「若侍」右「羽衣新造(はごろもしんぞう)」ともに、通年利用できるメニュー。化粧ありプランはお支度代(かつら、お化粧、着付け)と撮影料で15,000円。別途、写真にするための商品代が必要。所用時間は3~4時間程度。価格・時間がよりお手軽な化粧なしプランも。
スタジオアリス 歌舞伎写真館
東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー5F 電話:0120-137-753 営業:10時~19時 年中無休
http://www.studio-alice.co.jp/amusement/kabuki/
お土産&グルメも充実!
「木挽町広場」「歌舞伎そば」
旅行者注目のお土産やグルメも、リニューアルで魅力アップ。地下鉄「東銀座」駅から直結する地下2階の「木挽町広場」には、売店や食事処がひしめき、銀座の老舗企業とコラボした限定商品の屋台も並ぶ。
中でも売店「かおみせ」は、歌舞伎グッズや和風雑貨、和菓子など、魅力的な土産物がそろうと話題。海外のお客さんには、和の情緒が薫る「手ぬぐい」や、旅先で使う「レターセット」などが特に人気だとか。
かおみせ
東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワーB2F 電話:03-3545-6564 営業:10時~19時 年中無休(毎月末日のみ休業)
http://www.kabuki-za.co.jp/miyage/
同じく木挽町広場の「やぐら」では、「座・幕の内弁当」がオススメ。江戸時代から観劇の合間に食されてきた幕の内弁当の伝統を継承する、正統派の歌舞伎座グルメだ。
やぐら
東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワーB2F 電話:03-3545-6576(10時~18時) 営業:9時~19時 年中無休
http://www.kabuki-za.co.jp/eat/yagura.html
場外の歌舞伎座グルメといえば、忘れてはならないのが「歌舞伎そば」。改修前は歌舞伎座正面入り口の左手に位置していたが、現在は裏手の建物に移転。昼どきは行列必至。存続を願う常連客が現物件を探し出したという逸話からも熱烈な人気がうかがえる。
歌舞伎そば
東京都中央区銀座4-12-2 電話:03-3543-4510 営業:9時~18時半(LO18時15分) 定休:土、日、祝
http://www.kabuki-za.co.jp/eat/outside/soba.html
やっぱり歌舞伎を観てほしい
今回取り上げたのは、新生歌舞伎座の場外での楽しみ方。しかし、歌舞伎座の真骨頂はもちろん観劇。歌舞伎を見たことがない海外の人たちに観劇のポイントをお伝えしよう。
「チケットは?」
→英語サイトでも予約可能
チケットは劇場切符売場、プレイガイドなどのほか、英語のWebサイトで予約することも。公演情報も英語で掲載されている。
> Kabuki Web
「観劇に決まりごとは?」
→特別なルールはナシ
ドレスコードは特になく、一般的なお芝居を見る服装でOK。携帯電話の電源を切るなど、観劇のルールも、ほかのお芝居と同じ。
「難しそう...」
→細かな筋は「?」でも、楽しめる
筋がよくわからなくても、俳優の立振舞、舞台美術、音などで彩られた世界観に魅了されてしまうのが歌舞伎。台詞を聞き取れないまま、楽しむ日本人も少なくない。
「日本語がわからない」
→英語のガイドイヤフォンも
とはいえ、シーンごとにストーリーや背景、演出意図を解説するイヤフォンガイドがあれば、より深く楽しめる。歌舞伎座では英語のガイドイヤフォンをレンタルできる。
「女優がいないってホント?」
→女方の芝居は必見
歌舞伎俳優はすべて男性で、若い女性を演じる俳優を女方と呼ぶ。女性らしさをデフォルメした女方の芝居は、歌舞伎の見どころの一つ。
「お試しで観てみたい」
→一幕だけ見ることも
一つの公演の上演時間は3~5時間。手ごろな価格でその一部が観られる「一幕見席(ひとまくみせき)」は歌舞伎座ならではの人気席。一幕見席に予約はなく、当日並んでチケットを買う。
注目の公演
歌舞伎座新開場柿葺落
芸術祭十月大歌舞伎
平成25年度(第68回)文化庁芸術祭参加公演
2013年10月1日(火)~25日(金)
昼の部 午前11時~
通し狂言
義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
序幕/二幕目/三幕目
夜の部 午後4時15分~
通し狂言
義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
四幕目/五幕目/大詰
歌舞伎座では新開場にともない、2014年の3月まで盛大な「柿葺落(こけらおとし)公演」が続く。人気演目を豪華な俳優陣で楽しむ絶好のチャンス!