2013.01.11
今、東京では日本酒再評価の気運が高まりつつある。若い世代にも、奥深い魅力に目覚める人が急増中。海外から来るビギナーのために、日本酒の本当のおいしさに出会えるお店をご紹介しよう。
(トップ画像:佳肴 みを木)
飲み比べ天国で運命の一本に出会う
「米食米酒 穂のか」
日本酒をおいしく飲むポイントは、やはり自分の好みを知ること。あれこれ飲み比べるのがベストだが、味や香りだけではなく、値段もまちまちなのが悩ましいところ。
そこでオススメなのが、JR目黒駅から東急目黒線で2駅、武蔵小山駅にある「米食米酒 穂のか」。居酒屋の定番、生ビールや焼酎すら置かない、まさに日本酒勝負のお店だ。こちらでは常時そろう70~80種類がどれでも550円(120cc)。大人気銘柄から、通をうならせる銘酒まで、リーズナブルに飲み比べることができる。
「自分が飲みに行くときも、値段でお酒を選びたくないんです」。均一価格の理由を明かすのは店主の滝澤満さん。気になる銘柄を片っ端から試したい人は、90cc(450円)や60cc(300円)でオーダーすることも。
「何から飲めばいいの?という方にはこちらを」と滝澤さんがオススメするのが、「飲み比べ三種セット」。辛口セットや味わいセットのほか、原料のお米や造りの違いを実感できるセットもあるので、日本酒を覚えたいビギナーにうってつけ。同じ"辛口"でも、お米のうまみが広がったり、清水のように飲みやすかったり、銘柄による違いがおもしろい。
滝澤さんは有名料亭の出身とあって、お料理も大評判。特に名物の焼き味噌は、休みなく箸とグラスが動いてしまうほど日本酒に合う。うまい肴につられて、気づけばグラスは空。どんどん飲み比べて、自分好みの運命の銘柄を見つけよう。
米食米酒 穂のか
東京都品川区小山3-5-20 電話:03-3792-3232 営業:火~土18時~25時 日・祝18時~23時 定休日:月
http://www.mts-co.jp/honoka/
本物の燗酒を体感するならココ!
「佳肴 みを木」
ワインは時間とともに味や香りが"開く"が、同じように日本酒も温度によって多彩な表情を見せる。その恩恵をもっとも享受できるのが燗酒、温めて飲むお酒だ。
そんな燗酒を愛する人たちに人気なのが、地下鉄有楽町線、銀座一丁目駅近くの「佳肴 みを木」。冬にうれしい燗酒だが、こちらでは一年を通してオススメするという。「おみそ汁だって、夏も温かいでしょ?」と笑うのは、女将でお燗の名手でもある渡辺愛さん。冷・常温でも注文できるが、女将自身は「いろいろな日本酒を飲み、蔵元さんと交流を持つなかで、純米酒のお燗が一番だと確信するようになったんです」という惚れ込みよう。
さっそく渡辺さんのつけた「神亀」の燗酒をいただくと、ほかのお店との味の違いに驚く。口当たりはゆるりとやわらかなのに、後から何層ものうまみが際立ってくるのだ。「同じお酒を同じ温度にしても、お燗する人によってやっぱり味は違うんです」とのこと。
燗酒とはかくも繊細なのだ。そしてお店のもう一つの特徴が純米酒へのこだわり。純米酒とは、米、米麹、水だけで造る昔ながらの日本酒で、コクやお米のうまみを楽しめるものが多い。「お燗に適していて、食中酒としてもバッチリ。こだわりを表現できるので、純米酒を飲んでほしいという作り手も多いんです」と渡辺さん。
板前さんが腕をふるうお料理は和食中心。豪奢すぎず、でも家庭では味わえない絶妙な品々がそろう。端正な盛りつけにもご注目を。少しだけ特別な酒肴、そして本物の燗酒。こういう居酒屋、東京でも貴重なんです。
佳肴 みを木
東京都中央区銀座2-2-4 ヒューリック西銀座第2ビル B1 電話:03-3563-6033 営業:17時~23時30分 不定休(日・祝中心)
http://www.miogi.jp/
新感覚の日本酒×スペイン料理のコラボ「和酒バル KIRAZ」
目黒にある「和酒バル KIRAZ」は、日本酒とスペイン料理のマリアージュで話題のお店。
「普段日本酒を飲まない方も気軽に楽しめるように、スペインバルのスタイルを取り入れました。より多くの方に日本酒の魅力を知ってもらえれば」
そう話すのは、店主の馬宮加奈さん。実は馬宮さんの実家は、100年以上の歴史を持つ蔵元「三芳菊酒造」。実家に限らず、地方の蔵元のおいしい日本酒を紹介し、応援したいという。
仕入れるのは、無濾過・生原酒という蔵でしぼったままの状態に近い日本酒がほとんど。若い作り手による新しいタイプの銘柄が充実していて、日本酒のトレンド発信拠点としても期待できそうだ。
この日いただいたのも、そんな新感覚の日本酒。シャンパングラスに注がれた「三芳菊 発泡」はシュワッと酸味が効いて食前酒にピッタリ。「やまユ 酒こまち」はまるでフルーツをミックスしたようなカラフルな味わい。どちらも、これがお米?と感じるほどの洗練された香りと味で、女性にも受けそうだ。
さて、気になるスペイン料理との相性はというと、これが拍子抜けするほどよくなじむ。「スペイン料理は素材本来の味を生かす点が和食に近いので、日本酒にもよく合うんです」と馬宮さん。
カジュアルな雰囲気の中で楽しむ、モダンな日本酒。しかも肴は西洋料理。ワインでお酒の楽しさ・奥深さを知った若い世代に人気というのもうなずける。日本人にとっても新鮮な日本酒体験、一度試してみては?
和酒バル KIRAZ
東京都目黒区三田2-9-5 電話:03-3712-7277 営業:18時30分~23時 定休日:日、月、不定休
http://www.kirazu.net/