2011.10.14
東京には、アートと一緒に庭園散策やグルメまで満喫できる美術館がたくさん! キュレーターの水田紗弥子さんに、“大人の遊び場”というテーマで東京美術館の楽しみ方をガイドしていただきました。(トップ画像:ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ)
水田 紗弥子さん
1981年生まれ。武蔵野美術大学大学院芸術文化政策コース修了。若手アーティスト支援の仕事を経てインディペンデント・キュレーター。展覧会企画として、「皮膚と地図II - 記憶と時間への近づき方」(新宿眼科画廊/2011)、「皮膚と地図 -4名のアーティストによる身体と知覚への試み」(あいちトリエンナーレ入選企画/2010)、共同企画「柔らかな器」がある。Tokyo Art BeatとART遊覧で展覧会レビューを寄稿。comos(http://comos-tv.com/)の企画・運営にも関わる。
散歩気分で楽しみたい
アート + 庭園
「意外かもしれませんが、東京には庭園散策を楽しめる美術館が多いんです」。
水田さんが最初にオススメする東京美術館の楽しみ方は「アート + 庭園」。緑が乏しい東京にあって、庭園付き美術館は貴重な癒しスポットだ。
「『根津美術館』『東京都庭園美術館』『原美術館』など、立派な庭園を持つ美術館に多いのが、由緒ある旧邸を活用したケース。アートに触れて、庭園を散策、さらには瀟洒な邸宅にお呼ばれしたような気分まで味わえます!」。
ガイド推薦! Pickup Spot 「根津美術館」
なかでも水田さんが推薦するのが「根津美術館」。敷地内の日本庭園にはトレンド発信地、南青山とは思えないほどの静寂がただよう。
「鉄道王とも呼ばれた実業家、初代根津嘉一郎氏のコレクションが中心の美術館で、幅広い時代とジャンルの日本・東洋古美術が魅力です。もともとは根津氏の私邸だった場所で、現在も4棟の茶室を含む広大な日本庭園が残されています」。
いにしえの日本・東洋美術に触れた後、凛とした余韻そのままに日本庭園を散策できるのだ。タイミングによっては、美術&庭園の絶妙なコラボも見られるという。
「毎年4月末ごろに庭園のカキツバタが見ごろを迎えます。このタイミングに合わせて尾形光琳の国宝『燕子花(かきつばた)図屏風』が特別展示されるんです。同じ時期に見られる藤棚も見事ですね」。
根津美術館
東京都港区南青山6‐5-1 電話:03-3400-2536 営業:10時~17時 休日:月曜日 入場料:展覧会ごとに異なる
http://www.nezu-muse.or.jp/
感動の余韻を美食と共に味わう
アート + グルメ
水田さんが続いてオススメするのが「アート + グルメ」。何でも、趣向を凝らした館内レストラン/カフェが増えているのだとか。
「『東京国立近代美術館』のフレンチシェフ石鍋裕氏のお店、『東京都庭園美術館』の老舗料亭『新ばし 金田中』直営カフェなど、人気レストランのプロデュース店が話題です。また、こだわりのコラボメニューで展覧会を盛り上げるお店も増えています。美術鑑賞は結構体力を使うので、移動なしでおいしいグルメをいただけるのはうれしいですね」。
ガイド推薦! Pickup Spot 「国立新美術館」 <ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ>
水田さんが推薦するグルメスポットは、東京を代表するセレブタウン六本木の「国立新美術館」にある<ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ>。
「国家最優秀職人賞(MOF)の称号を持つフランス料理界の巨匠、ポール・ボキューズ氏の料理をブラッスリースタイルでカジュアルに楽しめます。空間は宙に浮いたステージのようで、日本最大級の展示スペースを持つ美術館の雰囲気と見事にマッチしています」。
また、大きな展覧会の開催に合わせて、期間限定のコラボメニューが登場することも。
「仲間同士で感想を語り合うのもアート鑑賞の楽しみの一つ。展覧会にちなんだコラボメニューなら、美術談義もいっそう盛り上がりそうです」。
国立新美術館
東京都港区六本木7-22-2 電話:03-5777-8600(ハローダイアル) 営業:10時~18時(金曜日~20時) 休日:火曜日 入場料:展覧会ごとに異なる ※入館は無料
http://www.nact.jp/
ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ
国立新美術館 3F 電話: 03-5770-8161 営業:11時~16時、16時~21時(金曜日~22時) 休日:火曜日
http://www.paulbocuse.jp/musee/
新鮮な驚きに出会う
アート + ファッション
水田さんが挙げる3つ目の楽しみ方は「アート + ファッション」。今年も「ルイ・ヴィトン表参道ビル」にアートスペースがオープンするなど、特にハイブランドが展示を手がけるケースが目立つ。
「好きなブランドの新作チェックやショッピングと併せて、気軽にアートを鑑賞できます。何より、いつもと違う角度からブランドの想いに触れたり、新鮮な驚きに出会えるのが魅力ですね。移動式パビリオンで各国を巡回したシャネルの『モバイルアート』展(2008年)など、多様化する展示スタイルにも要注目です!」。
ガイド推薦! Pickup Spot 「メゾンエルメス8階フォーラム」
水田さんのイチ押しスポットは「美術ファンの間でも評価が高い」という「メゾンエルメス8階フォーラム」。銀座のエルメス旗艦店にあるアートギャラリーだ。
「ラグジュアリーメゾンのアートスペースは、不定期に展覧会を開催することも多いんです。そんななか、2001年のオープン以来、継続して開かれる質の高い展示に、毎回感嘆させられます!」とのこと。
陽光がたっぷりと降り注ぐ天井の高い空間では、年に4回ほど企画展が開催されている。
「選ばれるアーティストの多彩さも魅力の一つです。それから、見逃した展覧会があっても、アーティストブックのように作り込まれたリーフレットでおさらいできるのもうれしいポイントです」。
メゾンエルメス8階フォーラム
東京都中央区銀座5-4-1 電話:03-3569-3300 営業:月曜日~土曜日11時~20時 日曜日11時~19時 不定休 入場無料
http://www.art-it.asia/u/maisonhermes